体育館でけが人を発見した結果…
高校のころに友人の女の子から又聞きした話。
一次情報にあたってないので、もしかしたら元ネタがあるのかも。
バレーの準備
休日練習の日、バレー部の女の子Aさんが体育館に行った。練習の準備をするためだ。
体育館にはすでに先客がいた。
体操着姿の少女が体育館のなかを脚を引きずりながら、体育館の中央を左から右へと歩いている。
よく見れば、少女は怪我をしているようだった。
ひざのあたりから出血しているのだろうか、赤黒い血が膝小僧を通じて室内履きまでべっとりとついているのだ。横顔を見ると、少女の顔は青白く表情も苦痛に歪んでいる。
これまで大きな怪我を見たことはなかったので、Aさんはショックで立ちすくんでしまった。助けてあげねばならないのはわかっているのに、声もかけられない。
「大丈夫?」
声をかけようと思ったところで、Aさんはっと気がついた。
自分の手を見てみると、体育館の鍵が握られている。
そうだ。Aさんは体育館の鍵を開放して、練習の準備を整えるために集合時間より早くここを訪れていたのである。
じゃあ、彼女はどうやってここに入ったのだ?
すると、視線の先の少女がこちらへ振り向き、目と目が合った。
少女は言った。
「見えるの?」